トンマナ(トーン&マナー)とは何か?
トンマナとはトーン&マナーの略語です。
元々は広告業界で「全体の統一感をはかること」を意味した言葉として使われてきましたが、
今では広告に限らずデザインやコピーなどにもよく使われる言葉になっています。
ちなみに「全体」とは何を指すかというと、
デザインの色や写真、フォントなどのイメージはもちろんのこと、
そのデザインに相応しいキャッチコピーや販売方法など、
お客様に接する可能性のあるタッチポイント全てに関わってきます。
つまりは、全体としての統一感を大切にする
ブランディングとも深く関わりがあるんです。
「ここのトンマナ合ってなくない?」とか
「先にトンマナ決めて進めよう」とか
そんな風に使うことがあるよ!
揃えるのはわかったけど、
トンマナがあるとどんな良いことがあるの?
トンマナ(トーン&マナー)を守るメリットは?
トンマナを揃えていくと、
単純に見た目が整うだけではない大きなメリットがあるんです。
見ている人に【世界観】が伝わる
例えばコカ・コーラのサイトはこんな感じ↓
ブランドカラーであるレッドとホワイトを見ただけで、
コカコーラの味が思い浮かべられるのは、常にトンマナが揃っていて、
みている人にコカコーラのイメージが定着しているからに他なりません。
続いてこちら。面白法人カヤックさんのHP。
社名もさることながら、トップページのこのインパクトを見ただけでも、
インパクトの強い世界観を持つことがわかりますよね。
トンマナとしては、ロゴのポップさ、社名、そして漫画調に揃えた社員の方々の似顔絵など…
全体としてポップでコミカル。
あえてカラーをモノクロにすることで、スタイリッシュさも感じられます。
最後はこちら
「北欧、暮らしの道具店」さん。
全体的に楚々としてふんわり柔らかいカラーリング。
差し色のイエローもさりげなくて優しいです。
強い癖だけではなく、こんな風に全体に癖はないけど暖かい空気感も、
トンマナが守られているから感じられること。
毎回決める手間が省ける
トンマナを守るメリットの二つ目はこちら。
何か新しいイベントを開催する時、新しいコンテンツを制作する時…
色はどうする?写真は?フォントは??
毎回全てをいちから決めていませんか?それってものすごく大変です。
私たちは日常の中で、小さなことから大きなことまでたくさんの選択をしています。
その数なんと一日35,000回以上!
「決める」というのは、脳のエネルギーを大きく消費します。
そしてその脳は、身体の中で最もエネルギー消費が激しいんです。
トンマナを揃えておけば、自分たちも楽になるし、
みている人へ世界観も伝わるなんて、揃えない手はないですよね。
チームとしての共通言語ができる
個人事業主として、一人で全てを決めることも大変ですが、
それがチームともなると、それぞれの考えをまとめる必要が出てくるためもっと大変です。
そんな時、トンマナが無いということは、
チーム全体が抱くそのビジネスやブランドへの共通言語がないのと同じこと。
分業で仕事を進めて、最後に持ち寄ってみたら、
全く違う世界観のものが集まってしまった…なんてことにならないためにも、
あらかじめトンマナを決めて揃えていくことは大切です。
つまり、トンマナが決まっていると、
色んなことがわかりやすくなってスムーズってこと?
そうとも言えるかもね。
トンマナはビジネスやブランドにおいての
設計図のような役割を果たすのかも。
トンマナ(トーン&マナー)を決めていくコツ
では、具体的にトンマナってどうやって決めていくの?という部分ですが、
まずは下記のようなものがトンマナとして揃える必要があります。
- 文体
- 表記や表現の統一
- 使わない言葉の設定
- 文字数
- カラー
- フォント
- 画像のテイスト
- レイアウト
ただ、この項目に沿って一つ一つ細かく決めようと思うと、木を見て森を見ず状態になりがちです。
先ほど述べたとおり、トンマナとは、単純に見た目や語尾を揃える目的ではなく、
全体の統一感をはかり、ブランドイメージや世界観を伝えていくために役立ちます。
であるならば、まず決めるのは在り方。
自分の世界観とは何なのか?それを元にどんなブランドを作っていく?
まずそこを決めたならば、そこに相応しいトンマナは自然と決まってきます。
ブランドとは何か?世界観とは何か?については、
下記の記事を参考にしてみてくださいね。
発信にトンマナ(トーン&マナー)を取り入れる簡単テクニック
ここまで読んで、トンマナを整えるのはなかなか大変で挫折しそう…!
と思ってしまったらすみません!
確かに全てを決めようと思うと逆に運用が大変になってしまう可能性はなきにしもあらずです。
そのため、個人事業主さんや、スモールビジネスオーナーさんは、
まずここだけでも整えると良いですよ!というおすすめの3ポイントをご紹介します。
この3つだけでも決めてしまえば、日々の発信などはカバーできると思いますよ!
1.カラーを決める
何はなくともまずはここ!
人間の脳は、形を正確に記憶できませんが、
カラーは意識せずとも記憶してしまうものなんです。
試しに、ドラえもんのジャイアンを思い浮かべてみてください。
何もお手本を見ずに、思い浮かべたジャイアンを描けますか?
おそらく、ほとんどの人のジャイアンが、なかなかに笑える出来になるかと思います。笑
では、ジャイアンは何色の服をきているでしょうか?
ここについては、かなりの人が正確に答えられますよね。
それくらい、カラーというのはインパクトが強いです。
形はさておき、カラーさえいつも同じものを使っていれば、
トンマナの大きな部分が整ったと言えてしまいます。
メインカラーの決め方についてはこちらでご説明しています🔻
2.写真のフィルターを決める
カラーの次に人の目がいく場所が、写真です。
特に、人物が写っている写真は目をひきます。
日々様々な発信をしていると、今日食べたランチや仕事の風景など、
様々なものを写真に収め、SNSにアップしていくと思います。
その時に、スマホで撮った写真をそのままアップせずにひと手間。
何でも良いので、アプリでこれと決めたフィルターをかけてください。
それだけで、写真に統一感が生まれます。
プロのカメラマンならば、どんな条件でも
トンマナの揃った写真が撮れると思いますが、素人にそれは無理です。
ならば文明の力を借りて、アプリで加工してしまいましょう。
3.フォントを決める
CANVAなどフリーのデザインツールを使い、
バナーやサムネを作成する人も多いはず。
そんな時に必ず使うのが「フォント」ですよね。
プロのデザイナーとして見ていていつも思うのですが…
みんなフォントの種類使いすぎ!
変わり種フォント選びすぎ!
毎回新しいの見つけすぎ!
です。はい。笑
フォントの最も大切な役割は当然ながら「読んでもらう」こと。
だとするならば、そんなに凝ったフォントは使わなくてもいいし、
毎回イメージを変える必要もありません。
もし毎回「今回はどのフォントにしようかな〜」と選んでいるなら、
今日でそれはやめてください!
シンプルできれいな日本語フォントを一つと、英字フォントを一つ選んだら、
次回からは毎回それを使えば大丈夫です。
気を衒って意図しないイメージがついてしまうくらいなら、
引っ掛かりなくスルッと読めることの方が大事です。
トンマナ(トーン&マナー)を決めるのは正直大変!
今回はトンマナについてご説明してきましたが、いかがだったでしょうか?
「ブランドの方向性」や「世界観」を元に決めていくと、
全体が揃っていくのでおすすめですよとはお話ししましたが、
それを見つけるのがまたひと手間だったりします。
けれど、トンマナは一度決めれば長く使っていくものです。
産みの苦しみはあるけれど、決めてしまえばその後が格段に楽になりますし、
ブランドとしての強い軸にもなります。
相性の良いお客様との長く続くお付き合いや、
自分らしい仕事を作っていきたい方は、
ぜひブランディングの根幹から取り組んで、トンマナを決めていってくださいね。