【民藝】とは何か?
勤労感謝の日ということで、
日頃働きすぎな自分を労るべく1日オフにしました。
(いや、本気で仕事が趣味なので休まなくても良いんだけど…)
まず行ったのは、近代美術館で開催中の【民藝の100年展】
好きな言葉は経年劣化で用の美をこよなく愛す私が行かなくて誰が行く。
民藝品という単語、みんな普通に使うけど意味知ってますか?
民藝=民衆的工藝のこと。
民衆生活の中から生まれ、日常生活の中で使われる地域独特の道具たち。
実は「民藝」と総称されるようになったのは割と最近。
約100年前に起こった民藝運動からだそうです。
それまでは、全国各地に当たり前にありつつも、
一個一個、ただの「道具」としか認識されていなかったものに、
【民藝】というネーミングしただけで
まるで大きな芸術の流派のような輪郭を持つことになった瞬間。
ここが私的胸熱ポイント1
また、民藝は戦後の日本の復興を
世界へアピールするものとしても一役買ったそうです。
古き良き日本をアピールするだけでは、未開のイメージから抜け出せない。
かと言って現代日本をアピールすると、欧米の模倣でしか無いと思われる。
ならば…と光が当たったのが【民藝】
たしかに世界から見たら、まだ触れたことのない民藝は目に新しく映る。
だけど日本人からしたら、戦争云々関係なく民藝は日常の風景。
「それが、復興の手助けになるの…?」
きっと当時の日本人からしたら頭の中に「?」がたくさん浮かんだだろうなと。
そこがまた、私的胸熱ポイント2。
ブランディングと民藝の共通項に胸熱。
ブランディングを手がけるものとしては、【民藝】熱かったです。
まず胸熱ポイント1
名前がついたことで、輪郭が浮き彫りになる。
名前がついたことで、手に取れるような、
具現化されたような感覚が多くの人の中に生まれる。
これ、ヘンテコレクションで狙ったことです。
変な人、変わり者、変人、個性派…
場面によってポジティブともネガティブとも取れるこれらの言葉。
まるっとまとめてヘンテコレクションと名付けることで、ネガティブさを払拭。
楽しいヘンテコさんいらっしゃい。
という印象を発信するのに役立ちました。
名前をつける=そのものの輪郭が明確に=増える
ちなみに、名前を付けると輪郭があらわれる。
…すると、それらは増殖する。という特徴もあります。
例えば「ニート」
例えば「HSP」
名前がない時、誰も彼らに注目しませんでした。
けど、彼らは昔も今も変わらず存在していた。
そして、それらを一括りにする名前がついた途端、どうでしょう?
隠れていた人が表に出てき始めた…と同時に、増殖しましたよね。
それは、名前をつけることで「イメージ」も一緒に定着することが要因です。
その「イメージ」を好ましいと思う人が現れ手を挙げる。
増えると市民権が得られた感覚になる。
すると更に手を挙げやすくなり、増える。
ヘンテコレクションもそうなったらいいなー。とか。
そして胸熱ポイント2
今まで日常の風景に溶けていた【民藝】を
世界へのアピールポイントに押し上げる。
これ、日本人は1ミリも変わってない。
ということは、「切り口を変えただけ」なんですよね。
ヘンテコレクションでお伝えしているブランディングも正にコレ。
誰も変わる必要は一つも無い。
今すでに持ってるもので、光が当たってない場所が確実にある。
それを掘り起こして見える化する。
それだけ。
だから、熱い。強い。
どんなに良いものも「伝える形」は最重要。
民藝運動を牽引したのは柳宗悦。
宗悦さんは元々優れた編集者でもありました。
だから「民藝は編集する」というスタンスであったそうです。
ただただ全国から民藝品を集めただけではその良さは伝わらず、
必ず誰かがそれを「伝わる形で語る」必要があります。
それがまさに編集作業。
その物に手を加えたらダメなんです。
不要なかざりをつけたら一瞬にして物の魅力が死にます。
南部鉄瓶にリボンつけたらおかしいもんね。
それってはたから見たら笑っちゃう事でしょ?
だけど、多分、南部鉄瓶に光が当たる前、
例えば職人さんに
「南部鉄瓶を女性に売れる形にして下さい」
と伝えたとしたら…リボン…可能性あります🤣
だから、宗悦さんのような編集者が必要不可欠。
そして僭越ながら、その編集作業を私もやりたいなと思ってるんです。
ゼロからものを生み出すクリエイティビティが低い私なので、
いや、だからこそ、
編集者的な立ち位置からのクリエイティブ作業こそ向いている。
と思いたい…精進します。
学びも遊びも全てがある。東京ってすごい。
民藝の100年展を見た後は、皇居周辺をサイクリング。
江戸城のお堀と丸の内のビル街って、ギャップがなんかグッとくるよね。
そして超〜久々のBARへ行き、久々すぎて柄にもなく
フルーツカクテルとか頼んじゃって、
その後も絶妙に絡みづらいバーテンダーさんから
ラムやバーボンをお勧めされ断れず…
「今度行ったらスコッチ一択の日にしよう…」
そう心に誓って帰ってきました。
いや、バーボンもラムも美味しかったんだけどね。
久々だからこそスコッチたちにただいまーと言いたかった。
そんなこんなで、オフにしましたといいつつ
頭の中はがっつり仕事と密着してましたが、
楽しい一日でした。
引き続きお仕事頑張ります。