プロにとっては取るに足らないようなことが、実はお客様にとっては大きな価値になることがあります。
そこを自覚するだけで、競合他社との差別化になる場合も。
他と差がつくブランディングをしていくために、大切な二つの【価値】についてお話しします。
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美容院でいただく美味しいコーヒー
いつも行っている美容院で、担当の美容師さんが嬉しそうに「新しい美味しいコーヒーマシン入れたんですよ〜!」と話してくれました。
しかも、どうやらそれはカフェでも使うクオリティーのマシンとのこと。
当然ながら、美容院はコーヒーを出すことがメインの場ではないですが、
私が美容院に行くのは、髪型や白髪を何とかしたいということに加えて、リラックスやリフレッシュの意味合いも強いため、
カフェに行ったときのような美味しいコーヒーもついてくるというのは、とても嬉しいことでした。
つまり、そのコーヒーに価値を感じたんです。
「腕さえ良ければ選ばれる」という思い込み
プロであればあるほど、どれだけ技術が高いか、どれだけいい品を出すかを重視してしまいがちです。
もちろんそれもお客様にとっての価値になります。
けれど、ある一定のレベルを超えると、ガチのプロの人たちのすごさって、素人からすると正直もうよく分かりません。
例えば美容院で髪を切ったときに、前髪がガチャガチャになったり、オーダーしたものと全然違う髪型になったりすれば、さすがにどうなの?となりますよね。
だけど、ちゃんとオーダーした形にさえなっていれば、見た目ではわからない技術面で重要なテクニックが盛り込まれていたとしても、それはもうプロの人にしかわからない領域だったりします。
プロとして腕を磨き続けることはとても大事だけど、こだわればこだわっただけ、
その価値がお客様に伝わって、売れる要因にストレートに直結するかというと、なかなかそれは難しいのが現実です。
ブランディングで大切な2つの【価値】
ブランディングでは、機能的価値と情緒的価値という二つの価値があると言われています。
その1:無いと成り立たない機能的価値
一般的な美容院で言うならば機能的価値はこんな感じ。
- 髪の毛をカットしてもらえる
- カラーをしてもらえる
- トリートメントをしてもらえる
ちょっとカット下手くそなんで、うちはやらないんですよね…
っていうところはあまりないですよね。
どの美容院へ行っても、最低限備わっているのが基本です。
そして、プロの人が重視したがるのはこの機能的価値。
けれど、どこの美容院も、この機能的価値は磨き続けている。
なのに、素人からは分かりづらい…
腕を磨くのは大事だけど、ある一定のレベルを超えたら、腕の良さだけでは選ばれない。
プロにとってはもどかしいところですよね。
じゃあどうやって差別化していけばいいのかというと、もう一つの【価値】が大切になってきます。
その2:無くてもいいけどあると嬉しい情緒的価値
先ほどの美容院で出された美味しいコーヒーは、情緒的価値に入ります。
本来の美容院が持っていなくてはいけない機能ではないけれど、お客さんからすると嬉しい部分。
そんな気持ちの面で価値を感じる部分を情緒的価値といい、ブランディングは特にこの情緒的価値の方を重視してます。
情緒的価値を高めた最高峰の例として、iPhoneがあります。
新しいiPhoneが出ると、必ずショップの前には長い行列ができますよね。
けれど、今までのものと新しいもの、全く違う機能をたくさん備えているかというと、そうでも無いことが多いと思います。
それでも「欲しい!」と思わせるのは、「最新のiPhoneを手に入れた」ということ自体に価値があると感じさせる、ブランディングの賜物です。
機能的価値にばかりフォーカスしてしまうと、上には上がいるため、苦しい戦いになってしまいます。
そのため、一見すると商品には関係が無さそうな、情緒的価値を高めていくことが大切なんです。
情緒的価値の可能性は無限大
どんな職業も、機能的価値はある程度範囲が決められています。
美容院だったら髪を切る。
料理人だったらご飯を提供する。
デザイナーだったらデザインを提供する。
一方、情緒的価値の方はどうかいうと、無限に広がる可能性があります。
例えば、ものすごい絶景を眺めながら髪を切ってくれる美容院です!としてもいいのです。
正直、美容院に絶景って機能的価値には関係ないことではあるけれど、美容院はリラックスしに行く場所と認識している人からすると、
ただでさえすっきりリラックスできる場所であることに加えて、絶景が見られるなら、すごく価値を感じる可能性があるわけです。
「あなたが持ってる情緒的価値は何ですか?」と聞いても「特にないです。」と答えるプロの方は多いですが、
私が美容院のコーヒーマシンに喜んだように、プロから見たら些細なことが、実は情緒的価値につながっています。
ただ話しやすいとか、一緒にいると元気になれるとか、そういったことでも構わないんです。
特別なブランドになるためには
基本的に兼ね備えていなくてはならない、機能的価値を高めていくのも大事だけれど、
そこにプラスして、情緒的価値は何か、お客様に何を求められているのかをしっかり自分で把握することも大事です。
自分のビジネスのコンセプトに合わせて、それを求めてきてくれるお客様にどんな情緒的価値をプラスしてあげたら、
よりお客様にとって特別なブランドになれるのかというところを考えてみるといいかもしれません。