お仕事の記録

Jazz LIVE メインビジュアルのデザイン裏話。

テリコ

以前は、デザインするたびに、
デザイン裏話なるコラム的なものをアップしていました。
制作物は本当に我が子のようで、
思い入れのないものなんてほぼなくて(ほぼw)
だから色々と語って、
それがとても興味深いと好評だったなぁと。
ふと思い出したので、
またちょいちょい語っていこうと思います。

Jazzの敷居の高さをなんとかせねば。

今回Jazzライブという少し特殊な世界のデザインをするにあたり、
最初にあつこさんと話したのは、

テリコ

敷居が高いと思われてしまいがちなのを
何とかしたいね。

ということ。

Jazzってどうしても、夜・お酒・暗い・大人…みたいなイメージ。

鎌倉にいた頃は、行きつけのBarでたまにLIVEの日があって、
お酒でふわふわした頭に生の音楽が入ってくると、
昇天しそうなくらいサイコーで。
夜の世界とJazzが相性抜群なのは自分の経験からも、否めない。

だけど、だからと言って一流ミュージシャンの音は
どこでどう聞いたってサイコーなはずで。
Jazz LIVEの持つイメージだけで、敷居が高いと嫌煙されるのは勿体無さすぎる。

敷居は提供者側が下げなきゃ下がらない。

じゃあ何がどうしてそういうイメージをもたれがちなのか?とリサーチをしてみると、
「気軽に来てみてほしい」と言いつつ、ミュージシャンのアー写は渋いし、
Jazz LIVEのフライヤーはオールドアメリカンなデザインと、
モノクロの写真を組み合わせたようなものが多く、

そりゃあイメージが偏るわけだよね…。

来て欲しいと言いつつ、Jazz側からは寄って来ていないね…と。
(イメージとか流れの話です。誰がとかってことではない。)

なので今回は、
Jazzの世界が持つイメージ(ブランディング)を壊さず、なおかつ敷居を下げる。
というのをテーマに掲げて制作開始。

デザインに写真を使わなかった理由。

最初に決めたのは「写真は使わない」こと。
どうしても写真て、想像の余白がない。多くを語りすぎる。

Jazzと聞いて素人の私がまず想像した楽器、サックスとかさ、もうそれだけでカッコ良すぎる。
金色にギラギラしていて、音色もセクシーで、あの複雑に入り組んだ造形は男っぽい。

楽器ひとつとっても写真はイメージが強いから、ミュージシャンの写真はもっと避けたい。
LIVEする彼らはカッコ良すぎるわ。どうにも敷居が下がらない。
かといって楽しそうにみんなで柔らかく笑う彼らの写真とかも、
イメージ逆ふりしすぎてちがーう!し。

そんなわけで、文字+イラスト一択
じゃあ、どんなイラストにしていこう?
ピンタレストで良さげなクリスマスのイメージを適当に集めて
今回の企画者である企画コーディネーター、あつこさんに見せてみる。
すると、その中でいくつか「これは今回のメンバーのイメージっぽい」と
選んでくれたものが、意外にもポップなイメージのビジュアル

ニュアンスは足したり引いたりでバランスを取る。

残念なことに、私はあまり音楽に明るくない。
Jazzライブを聞いても、

テリコ

このメンバーはポップで、
あっちのメンバーは渋いな

とか、聞き分けられない。
ウイスキーだったら、

テリコ

ボウモアとか知多は女性的だけど、
山崎は例えるなら加齢臭がするくらいのおじ様!

とか、味とイメージを結びつけられるんだけどね。
音の微細なイメージ分けはできない。

その点あつこさんは、年間何十本もJazz LIVEに通う人。
ジャズ企画コーディネーターはさすが違う。
音とビジュアルイメージを結びつけられる。
ならばと彼女の感覚を全面採用。今回はJazzライブだけどポップ寄りでいい。

かといって、本気のポップになってしまっては
ブランドイメージの破壊に繋がりかねないので、カラーは渋めに。
クリスマスの定番色であるグリーン×レッドの元気カラーではなく、
渋めグリーン×ゴールドの大人クリスマスに。

モチーフは雪をドットに見立てて散らす。
このドットは必ず大きくなきゃいけない。
小さなドットはポップよりも可愛いのイメージが強くなる。
大きいドットならば、モダンの要素も含んでくる。

小さなスパイスは人の注意を惹きつける。

さて、ここまでで大枠のイメージはFIX。
でも、クリスマス感がちょっと足りない。
ということで、幸せなクリスマスを楽しむ小さな人にご登場いただく。

この人たちは、フライヤーに印刷した時もちょっと寄ってみないと
なんだかわからないくらい小さい。
そこまで小さくしたのは意味があって、
ちょっとした遊び心のスパイスになって欲しかったのがひとつ目の理由。
(目立つと子供っぽくなる)

もう一つが、あえて近寄らないといけないくらい小さくすることで、
そこに集中力を使って欲しかったから。

フックのない綺麗なビジュアルは、全体のイメージをサラッと見てもらって、
心に爽やかな良いイメージを残すのには最適。
だけど今回は、多くの人に馴染みのないJazzライブの告知。
ただ全体の良いイメージだけふわっと見て去っていかれてしまっては困る。

そこでこの小人さんたちをきっかけに、
ググッと画面やフライヤーに顔を近づけてもらって、
隅々観察ついでに、ライブの日程を視界に入れる時間も増やしてほしいなと。

爽やかな皮肉を込めたキャッチコピー。

ちなみにコピーライティングも私が担当。
「はじめての出会い」を匂わせることで初心者さんを狙いつつ、
「本物」とあえてつけたのは、ミュージシャンたちが本物だから。
一流も一流。

あと実は、「本当に好きなことで仕事をしよう!」みたいな
よく聞くコピーへのアンチテーゼも含んでいる。
本当の「好き」をWebの中に探したって見つかる確率なんて低いと思ってる。
自分で選んだ講座なんて、結局想像の範囲内。
想像を超えるような気づきは、誰かに分析されて諭されて得るものじゃない。
新しい出会い、偶然の出会いを求めるなら、足使って外に出るのが手っ取り早い。

だから、
「本当に好きなものが何かわからないんですぅ」とか言ってるそこのSNS起業系女子よ、
頭でっかちになってたって答えなんて出ないんだから、
自分の足でライブ見に来て、そこで何を感じるんだか体感使いにおいでよ。

そんな皮肉が込められてる。笑

ふぅ。たくさん語った。
これくらい語れるくらい、制作物にはたくさんの意図が含まれている。
でも、これくらい語れるのは、
デザインの対象となるものへの理解や愛情がないと無理だから、
今回のLIVEは是非とも見に来て欲しいなと思ってる。

ABOUT ME
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クロハテリハ
ブランドエディター・グラフィックデザイナーです。 2016年にフリー転身。主に個人事業主のビジュアルを含めたブランド作りのお手伝いしてます。人の【変】な部分が大好物。普通の人なんて一人もいないし、みんな自分が変だって気付けばいいのにと思ってます。ウイスキー好きさんも大歓迎。
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