SNSに横行する無邪気な詐欺師。
「無邪気なサギ師」とは私が命名したわけではなく、とあるSNSにてどっかの誰かが命名しており、なんとも上手い表現だなと思いお借りしております。
具体的にどんな人のことを言うのかというと、例えば…
- 自分がそのメソッドで変われたからと言って、勉強したこともないのに「量子力学で証明されてる」などといってしまう人
- 習ったことを忠実に再現しているだけなのに「誰でも3ヶ月で稼げる」と謳い豪遊している風な発信をする人
- ただ友達の相談に乗っていたら「コンサルできるんじゃない?」と言われコンサルタントを名乗ってしまう人
などなど…SNS界隈にはあまりにも溢れすぎているため、例を挙げ出したらきりがないんですが、要は「悪気なくサギまがいの行為をしてしまっている限りなくブラックに近いグレーな人」のことを指しています。
で、先日そのような方とお話ししたのですよ。
彼女は「インテリアコーディネーター」を名乗っておりました。
(実際は別の職業でしたが、個人の特定を防ぐため置き換えてます。)
とりあえず肩書きを名乗らないといけない?
彼女の悩みは「ちゃんと勉強をしたこともないのにインテリアコーディネーターを名乗って良いのだろうか?」というもので、なおかつ「でも売れるために何かの肩書きは名乗りたい」とのこと。
ふむふむなるほど。ではなぜ今その肩書きを名乗るに至ったのですか?と聞くと、友人から頼まれてお部屋の家具や照明のおしゃれなものを提案してあげたらとても喜ばれ、それから口コミでいくつか家具選定の依頼が来たから…と。
でもその方、よくよく聞くとお仕事の内容は多岐に渡り、家具の選定だけでなく、お料理やお掃除代行だったり、シッターだったり、買い物を手伝ってあげたり、車で送迎してあげたり、頼まれればなんでもやっているらしい。
「それで、自分が何屋かわからなくなってしまって、とりあえずインテリアコーディネーターを名乗っているんです。」
そしてここで加えて、衝撃的な発言が。
「でも私、お部屋丸々のインテリアコーディネートなんてできないんです。」
それって肩書き詐欺じゃね!?
内心「……え、それって肩書き詐欺じゃね?」と言いそうになるのをグッと堪え、「インテリアコーディネートできないインテリアコーディネーターなんておるかーい!」とツッコミそうになるのもグッと堪え、
「うん…ひとまず、その肩書きはやめましょうかね」と一呼吸。
(なんて無邪気なんだ!!!と壺に向かって叫びたい)
状況を整理しましょう。この場合課題は2つあります。
- インテリアコーディネートできないのに名乗っちゃってるってこと
- 肩書きが必要である!と強く思っていること
もしかすると、2つ目の課題は意外かもしれません。肩書きがないことが問題なのではなく、肩書きが必要!って思ってることが問題なんです。
というのも、私個人的には肩書きってのはそこまで重要ではないと思ってまして。
そもそも肩書きをなぜつけるのか?というと、説明しやすくするためですよね。けれど肩書きにはメリットとデメリットもあります。
肩書きのメリット・デメリット
メリットは一瞬で伝わること。デメリットは、その肩書きの固定観念に縛られること。
例えば税理士。
税理士ですと名乗れば、誰もがその人の職業がわかりますし、何をしてくれる人かも説明いらずです。けれど、税理士の仕事しか来なくなります。至極普通ですね。
今回の相談者さんの場合、あれもこれもと様々な依頼を受けています。なのに、何かひとつ誰でもわかる肩書きをつけてしまったら、他の仕事は来なくなります。
それでいいならいいんですが、ご本人に聞いてみたところ「とにかく飽き性で、新しいことが大好き。課題を与えられれば喜んで解決のための道を探りたいタイプなので、色々やりたい!」とのことなので、肩書きなんて定着しちまった日にゃ、すぐその仕事辞めたくなることが想像できます。
起業塾の功績の裏にある罪深さ
ちなみにどうして何かの肩書きをつけなきゃいけないと思ってるんですか?と質問してみたところ、「起業塾でそうしろと習ったから。何かに特化しないと売れないって言われた。」ですって。
そう、無邪気な詐欺師たちは多くの場合、とても素直。
そうじゃないとダメだと言われ、素直に「そうなんだ」と受け取り、言われた通りに行動しているだけ。いやはや本当に、世の中の講座ビジネスの闇深さよ…
確かに、スピード感を持って商品を売るためには、とにかくわかりやすいことは大事。起業塾は生徒さんが稼ぐことが=自分の実績となるので、できれば起業塾の開催期間内に跳ねて欲しい。
そうなったら、長い目でみての「考え方」よりも、短期集中の「やり方」を教えることになる。
でもね、急激に上がったものは急激に下がるのが世の常。変に跳ねて、途中で違った!と思った時の軌道修正は、一から始める時の何倍もの労力がかかります。
ハマらないならハマらないなりの肩書きをつけよう
結果この方には「レンタルなんもしない人」の例をお渡ししました。
彼は「なんもしない」ということを明言することで、見事に型にハマらない独自ビジネスを確立したいい例です。
何にもハマらない肩書きをつけたわけで、ネーミングの妙ですよね。
世の中にある肩書きは、誰にでも当てはまるとは限りません。ただ、世の中にない仕事を作るのは時間がかかり骨が折れる仕事です。
それでも、ニーズがあって、本人がやりたいならいいじゃない?と思うんですよね。
現に彼女は、口コミで様々な仕事をとっており、毎日充実しているそうで、そもそも肩書きなんて無視して活動してたんですよ。
ちなみに、なぜタイトルが「無邪気なサギ師予備軍」かというと、彼女、インテリアコーディネーターとしてはそんなに稼げてなかったからです。笑
これが稼げちゃってたら詐欺まがいですからね。稼げてなくて本当よかった。